2003.3月掲載
じゃこ天と漬け物の
清水商店
愛媛県松山市道後湯之町6-14
089-921-1634
松山のじゃこ天はうまいらしい。いくつか看板を見て心ひかれた。今回は一人旅で、荷物を持ってくれたりどこにでもすぐに連れて行ってくれる流れ星さんがいないので、買い物をするタイミングは大切だ。あれこれ味見をして、ここぞという店のを最終日に買い込んで、宅急便にするつもりだ。
まず見つけたのは、道後温泉の商店街に入ってすぐ右手にある「清水商店」、小さな店だ。店頭には伊予柑やイチゴが並んでいて、じゃこ天一枚75円と書かれた段ボールの看板が、アイスクリームの上に乗っている。店に入ってみると、5枚一袋になったじゃこ天が積んである。壁一面の冷蔵庫にもたくさん入っている。八幡浜という所で作っているものらしい。一袋とってレジを見ると、前に漬け物がおいてある。白菜と、野沢菜のような青菜、キュウリの芥子漬けなどがある。私はまず白菜を選んだ。聞くと漬け物は手作りらしい。毎日せっせとつけているのだそうだ。
ホテルに帰り、さっそく食べてみる。
じゃこ天は弱火で焼いて大根おろしとポン酢で食べるとうまいらしい。ホテルではそんな芸当は出来ないので、そのままむしゃむしゃと食べたが、なんだか妙においしい。いわゆるうまい!! というのとは違う。
ああこれだ、という感じ。身体がこれを欲しがっていたということが解る。一枚食べると口が飽きるし、もういいと思うのだが、なぜかお箸がじゃこ天をつかんで、また食べてしまう。
じゃこ天の合間に白菜をかじる。ぬか漬けでも塩づけでもない、不思議な丸い味だ。長いままの葉をはしからかじり、じゃこ天にかぶりつき、いつの間にか両方とも全部たいらげてしまった。
次の日も同じ店に行く。今日は旦那さんがいていろいろ話してくれる。全国から届いたお礼状のファイルを見せられた。うっとうしいなあと思いながら見せてくれるのにつきあったが、見てみると全部本物のお礼状だ。芸能人の名前もあちこちにある。しかしそれよりも、「ここの漬け物は本当においしいね」と言うと「あれはかみさんが作ってる、そんなこと言うと、また図にのるから困るなあ」などと言いながら、赤ちゃんが時折見せてくれる笑顔のような、本当にうれしそうな顔になった。この仕事が大好きでしていることが伝わってくる。
その笑顔につられてまたじゃこ天とゆず大根とキュウリの芥子づけを買った。予定を変更して早々と帰ることになったので、宅急便で送る分も少し多めに買った。
宅急便で地方発送もしているそうです。お問い合わせください。