食べ日記
ここでは私が、あちこちうろついて食べ歩いたお店を紹介します。 by いずみ



さのや


福井市・さのや開発店

おろし蕎麦中盛り590円


 新しい店を開発しよう、ということで選んだ店。店としては何を開発している店なんだろう、変わったネーミングだと思ったら、開発というのは地名だった。店の入り口でここではどんぶり物も置いていると知り、ちょっと気分を悪くする。そば屋にはそばだけを置くべきだ、と私は思う。どんぶりだの定食だのを扱っている店を私はソバ屋とはよばない。が、ここまで来てしまったら腹をくくって食べてみるしかない。おろし蕎麦を注文する。
 越前ソバの定番のようにソバの上におろしや薬味がのっているのではなく、ソバだしの中にすでにたっぷりと大根おろしが入っている。薬味はかつお節とネギ。
 ソバは、残念ながら少し物足りない。固さ歯ごたえはいいのだけれど、風味がいまいち。が、この出汁が以外においしい。あっさりとして軽く、出汁だけを飲みたくなる。たとえば、なんであんな男にあんないい女が!! と思うようなちぐはぐな納得のいかなさが残る。



一福

池田町・そば処一福

福井県今立郡池田町稲荷 0778-44-6121
おろし蕎麦のみのメニューで、つゆは、塩、醤油、生醤油の三種類の中から選べる。
各600円。 塩そばの大盛り800円がお勧め。一人分が少ない目なので、一人で三種類 全部頼んでも大丈夫。

 小さな器にソバが大盛りになり、醤油を全く使っていない塩だしがたっぷりかかり、ネギ、かなり辛い大根おろし、かつお節が乗り、中にワサビが隠れている。形は越前ソバの定番だ。  流れ星さんが13年間通っているというのがうなずける味だ。とにかくうまい。どこにも欠点とか不足がない。
 ソバの出汁といえば濃い口醤油で育った私は、最初にこれを食べた時には非常な驚きだった。何も言わずにただひたすら食べる。おいしいとか、これはどうだとかしゃべる気分にもならない。ただひたすら食べる。ソバ独特の香りと歯ごたえと、塩出汁のさっぱりした透明感が妙にあう。前世からの約束で一緒になったラブラブのカップルが、20年たっても静かに幸せに寄り添って暮らしている、みたいな雰囲気の味だ。これさえ食べれば、福井に来てよかった、今日は本当にいい一日だった、と思える。この塩蕎麦のために一日かけて行く値打ちあり。
 お願いすると持ち帰りも作ってくれる。もちろん塩出汁もついている。私も買って帰り家族に作ったが、普通の乾麺をゆでる感覚で麺をゆでて大失敗。ぶつ切れになってしまった。ゆで方でこんなにも味が変わってしまうのか、と大反省した。大切に丁寧にゆでること。でも、それでもおいしい麺だった。



武生のふる里


武生市・ふる里

福井県武生市東千福町17-9 0778-24-5541
おろしソバ大盛りがお勧め。550円



武生のふる里のソバ  越前ソバを食べるなら、まずここでおろしソバを食べるべし。越前ソバというのはこ ういうものです。安心して食べられる店。麺のこし、太さ、出汁の加減、麺と出汁の相性、これぞ正統派の越前ソバ、という味。特に何がどうだ、というようなものはないが、ああこれが越前ソバだ、と思える。あちこちの女性の間を放浪したあげく、やはり帰ってくるのは私の所しかないのね、みたいにいつでも待っていてくれる女性のような、店の名でもあるけれどふる里に帰ってきたような気分になる味だ。
 越前ソバは、ふる里に始まりふる里に終わる。かもしれない。ここでも持ち帰りが出来る。



今庄のふる里


今庄町・ふる里

福井県南条群今庄町今庄83-3-1
JR今庄駅徒歩2分 0778-45-0805
おろしソバ600円


 麺はめずらしく細めで、しっかりとした味。出汁もいい感じだ。店内は狭い。御主人 の趣味だという写真が飾ってあるが、これもなかなかの腕前だ。ここの麺を食べると、普通の越前ソバは素朴で男性的なんだというのが実感できる。
 武生のふるさとを青年にたとえると、今庄のふる里の麺は乙女の繊細な優しさがある。かと言って甘くはない。ああこの人は何でも言えるし甘えていいんだ、と図にのっていると、キュッとお灸をすえられるような、真のあるしとやかさがある。
 調べてみると、武生のふるさとと姉妹店らしい。



天領そば


天領そば

福井県鯖江市沢町26-4-2 078-65-1020
おろしソバ中盛り700円。大盛り1000円。



 まず店内のあれこれのセンスのなさにあきれる。和風の味を出したいのだなという痕跡はあるが、テレビの横にガチャピンのぬいぐるみがあるし、柱の「かけうどん」のはり紙だけで十分減点なのにその上にキティちゃんのぬいぐるみがぶらさがっているのはなんとかしてほしい。店の外にたくさん幟(のぼり)があり、さらに店内にも幟を飾るのもいただけない。
 物を売っているらしい棚があるので覗くと、ロイヤルゼリーの錠剤らしきものがほこりをかぶってバラバラと置いてある。別のテーブルにはソバ打ちの道具あれこれがあり、売り物のようなそうでないような微妙な感じだ。
 大盛りはどでかい盃のような塗りの器に入ってくる。麺の味はまあ及第だが出汁に力がない。出汁の量はたっぷりめで、麺の量も多めだ。福井の大盛りは他での中盛りと考えて間違いないが、ここのはちゃんと大盛りだった。が、私はどでかい盃に入った大盛りの写真を撮りたいが為に、それを注文した事を後悔した。

 店内の蠅をおっているおじさんが「関西からですか」と話し掛けて来た。店の手伝いをしている仲好しさんらしい。そのおじさんはもともと眼鏡屋で、XジャパンのYoshikiの眼鏡をたくさん作ったという。チタン製のを開発したのも自分だと言っていた。人の自慢話など聞きたくないのに愛想よく聞いてしまい、ここにもそれを書いてしまうミーハーな自分に腹がたつ。




天使のネットワークへ
 はな どんな人たち?
天使の仲間たち  はな みんなの掲示板  はな リンクページ