最近パワースポットめぐりをしてないなあ、つまらないなあ、と思っていたら、PCせにんさんのHPに面白いことが書いてある。吉野の津風呂湖に水没した神社があり、その奥宮か何かが残っているらしいのだが、そこのお社への階段の途中に、脳天ピリピリスポットがあるらしい。吉野なら日帰りが十分に出来る距離だ。行って私も脳天ピリピリを体験するぞ!! ちょうど仕事も一区切りついたので、自分のご褒美に一日遊ぶことにした。
免許のない私は、いつものように流れ星さんにお願いして連れて行ってもらう。今回は近場だし、他に用事もなく、のんきな旅だ。梅雨時で雨も降っているが、お参りの時は浄化の雨と勝手に決めているので、ぬれる時にはありがたくぬれることにする。
昼頃、津風呂湖についた。が、そのスポットの神社がよく分からない。手がかりは湖の底に水没した神社で、1.300年くらい前の古い神社らしいこと、湖の周辺にあるらしいことと、PCせんにんさんのHPに載っていたあやしい写真だけだ。
とりあえず津風呂湖の周りを一週したらどうだろう、と私が考えていると、流れ星さんはすぐさまダムの事務所を見つけて、そこに聞きに行くという。
さすが、検索名人の流れ星さんだ。情報収集能力はどこに行っても発揮される。ダム上の橋を渡って、事務所に行き、2Fにあがる。
ここに来てまだ半年という気さくなおじさんが、古い地図を広げて説明してくれた。
「水没した神社なら、この春日神社ですよ……この道をこう行ってああ行って、ここまで来たら行き過ぎですから戻ってください……ほかにはねえ、ないと思いますよ、水没したのはここでしょう、ここをこう行って…」とても親切だが繰り返し同じことを何度も言っているだけだ。
「で、水没したお家の遺族の方ですか? それともこのへんの歴史を調べておられるんですか?」その一言で私はにわかに雑誌記者に変身した。
私は各地の埋もれた伝説や不思議な話を取材するマイナーながらも売れっ子のライターで、流れ星さんは不思議に怪しい写真をとるカメラマンだ。これはあながちウソではないなあ、この設定なら人をだませる、と考えたのはわずか1.3秒。ここでこのおじさんを得意の質問攻めにしても、たいしたネタは出てきそうにない。くだらないお芝居はやめて、パワースポットに直行だ。