精神世界  ミーハーの精神世界みてある記 20  京阪神
by いずみ

2004.5月掲載

精神世界  名古屋スピコンレポート   京阪神


■名古屋でスビコンを初めてやるらしい。

友人のまこちゃんが(男性・ヒーラー・シャイ・間違いなく宇宙人)名古屋スピコンの案内メールをくれたので、行ってみる気になった。4 月4日だ。日程も調整できないことはない日だ。

スビコンという面白いイベントがあるのは聞こえていたが、まだ参加したことがなかったので、いいチャンスだと思った。

スピコンというのは、スピリチュアルコンベンションの略で、精神世界系のたくさんのかたがたの祭典というか、ゴッタ煮というか、まあそんなイベントらしい。
東京ではとてもさかんで、隔月で開催されているらしい。

まこちゃんと久しぶりに会えるかなと思ってメールをすると、彼は裏方をしていてなおかつ用事があり、午前中と夜の撤収の時にしかいないと言う。とにかく忙しいらしい。今回はゆっくり話をするのはあきらめて、挨拶できればよし、ということにした。



■そしてその日が来た。

名古屋も雨だ。雨の中をがんばって歩く。
ついてみると、すごい人だ。ちょっと圧倒されてどうしようと思っていると、まこちゃんがいた。声をかけると振り向いて、いつもの笑顔があった。
引っ込み思案の私には、知りあいがいるというのはとても心強い。
というか、まこちゃんに主催者の方々を紹介してもらい(初めましてこんにちは、名刺交換、どんなお仕事をされているのですか)、それからまこちゃんの友人がしているブースにも行って紹介してもらったら(初めましてこんにちは、名刺交換、もう長いことされているのですか)、もうこっちのものだ。なんとなく雰囲気はつかめたし(文字通りごった煮状態)、さあ探検するぞ!!!



■とにかく会場を一周して、面白そうなものをチェックした。

広い会場なのだが、ブースと人で埋め尽くされている。「精神世界の話が出来る人がいないんです」と私にメールをくれる人がいるのだけれど、その人はこういう所に来たことがないのだろうなあ。これだけの熱心な方々を見ると世界中どこに行っても、となりのおじさんもケーキ屋のお姉さんも、誰にでも精神世界の話が通じるに違いない、という気分になる(それが大きな勘違いだったりするけど(-_-;))。

私が学んだことのある占いやヒーリングをしているブースもいくつかある。水晶などの石を扱っている店も何件ある。摩訶不思議な事をしているブースもある。オーラソーマもブースもいくつもある。巨大ルーレットを使って何かしている人たちもいる。人魚のカード、ミスティカオイルのカード、エンジェルカードを使う人もいる。チャネラーさんやヒーラーさんたちもたくさんいる。そして不思議とこころ魅かれる人が何人かいた。



■とても美しいカードを発見。

広げて並べられているカードが幾何学模様なのだが、非常にうつくしい。マヤンオラクルカードにも似ている。左側には「護符」としてそのカードが美しい色つきで並べてある。右側にはその幾何学模様がミニカードになって、小さなケースに収められている。なんともかわいらしい。カードさんたちがとても大切にされているのが感じられた。

テーブルの真ん中に座っている女性は、控えめで落ち着いた雰囲気の人だ。 そして誰かが彼女のセッションを受けている。私は次にセッションを受けるべく、今やっている人が終わるまでカードを一つ一つていねいに眺めることにした。というのはこの場を離れると、他の人に次の順番をとられそうな気がしたからだ。

私の順番が来た。椅子に座る。控えめで優しくて穏やかな人だ。
まず私のエネルギーのリーディングをしてもらった。両手に浄化のためのお香の粉か何かを乗せてもらってスリスリする。そして私の両手に彼女が両手を重ねて、眼を閉じる。まわりのやかましさがかき消えてしまうような、芯の強さがある。

そして眼を開けて小さなカードに筆ペンでサラサラと模様を書いてくれた。お魚に似た形だ。なんだかかわいらしい。

説明によるとこれは
「護符」=TALISMANというもので、私の中から出てきたエネルギーの「形」をリーディングしたものだそうだ。もらった紙には「あなた自身のエネルギーがあなたを護り、導く、というつもりでお持ちください。お守りを持つ感覚でお持ちください。」と書いてある。 そうか。
でもそれだけで引き下がる私ではない。
「この図形には何か意味があるのですか? 」と聞いてみた。
「はい、何かメッセージがあることもあります。」とのことなので、もちろんそれもお願いした。
彼女は何か言葉をメモして、それから少し私と話をしながら、その単語を文章につないで小さなカードに書いてくれた。

古い年月を越えて(百年)鋭い感受性が目覚める。
皆が来る。集まってくる。
全体を読むこと。
天からの役目がある。


ふーむ、ふむふむ。分かる気がする。気がするだけだけれど。自意識を満足させてくれる言葉だ。こういう、自分は特別な人間かもしれない、と思わせてくれる言葉に私は弱い。これから面白いことが起きるのかもかも。
誇大妄想狂のようにイメージが膨らみかけるが、押さえて押さえて。これから何が起きるのか、何も起きないのか、楽しみにしていよう。

そして何よりも心地よかったのは、一つ一つのものがすべて手作りで、心をこめて作られていることだった。護符のようなものをカードにしてケースに入れてあるのだけれど、それもとても小さくて、ケースも屏風たたみの解説本もミニサイズの手作りで、私は買わずにはいられなかった。

彼女の名前は霊古さん、当て字だと思うけれどその文字がピッタリ来た。髪は白髪が混じっているが、童顔で年齢不詳。ステキな人だった。



■サンタに似てないプレゼントおじさん。

反対側のコーナーで、通りかかる人に袋に入ったものをどんどんプレゼントしているおじさんがいる。もちろん私ももらった。
中身はカタログと、CD付き絵本だった。小さなローズクォーツもついている。ちゃんと出版されたものだ。これを惜しげもなく配っているというのは…よっぽど売れなかったのか、ガンガン宣伝したいのか、お金が余って困っているのか…どうもそんな理由ではないような雰囲気がする。

そしてどこかで観たことのある女性がアメジストや水晶にうもれて何かセッションをしている。
「佐藤まさこさん」という人だ。後から分かったのだけれど、精神世界の中ではかなり有名人で、活躍されている方らしい。

石のお店もたくさんあったのだけれど、ここのお店が一番いい感じがしたし、なんだか受けてみたくなったので申し込んだ。予約制で私は2時半だった。ずいぶん人気があるようだ。

そのおじさんは最近急激にダイエットをしたらしく、ズボンをズボン吊りで止めているのだが、ウエストがかなりだぶだぶで、ズボン吊りがなければ悲しい格好になってしまうだろう。これで山高帽とステッキを持ったら…
仕事の良くできるキビキビした人で、しかもかなりユーモラスな人だと観た。そしてきっと過去にこのまさこさんに人生を救われたような体験があり、それで一緒に仕事をしているに違いない。などと、ヒマだったので空想していた。


■非常に熱心に何かを説明している女性に捕まった。

ヒマなので少し付き合うことにした。興味のないことや、趣味ではないものを売りつけられたりしないように注意しなければ、などと斜に構えながら話を聞いた。
その女性は最近その活動をNPOにしたらしい。本当に一生懸命で、いろいろ説明してくださったのだけれど、結局何も記憶に残らなかった。ごめんなさい。

ただ、そこで扱っている
木の精のオイル「源輝の森」というものがあり、なんだかよさそうな感じがしたので買ってみた。
アマゾンのジャングル奥地でとれる天然のコバイバという特別な木から特別な方法で抽出したものらしい。
しかしパッケージは、はっきり言って非常にダサイ。どうしたらこんなデザインが考えられるのだろうか。半端なダサさではない。

オイルを口に一滴落としてみると、「木」だ、という感じの味だ。それから何かが広がる。そして非常に強いオイルだ。1度に1滴で十分だというのがうなずける。
今でもジャングルの奥地には、私たち都会人には想像もつかないような木がはえているのかもしれない。生の命がけの自然のエキス、そんな感じがした。

オーラソーマやエッセンシャルオイルのような洗練されブレンドされたものに慣れていた私には、何か新鮮なショックがあった。


■姓名判断が500円という格安のブースがある。

3時まで時間をつぶさないといけないし、座っているおじさんがいい感じだったので、見てもらうことにした。気功整体をする人のようだ。
画数で観ると、私の名前はかなり最悪だ。これでもか、これでもか、というくらいに凶ばかりが並ぶ。いつも言われる事は同じなので、何を言われても平気だ。ただ、改名するとしたら、という所が聞きたかった。

なんでも、いい名前が浮かぶのに1日の人もいるし、1ヶ月かかる人もいるのだそうだ。そしてその名前を聞いて、気に入ったら本人が納得できる金額を自分で決めて支払うのだそうだ。
なるほど。それなら頼んでみよう。
「いずみ」という名を変えるのはいやだと言ったら困った顔になった。それならミドルネームを入れましょうかと言う。ということは「福本・エリザベス・いずみ」とか「福本・キャロライン・いずみ」とかにするんだろうか。すんごく楽しみだ。

そして一ヶ月過ぎた今も、まだ連絡はない。



■お昼ご飯を食べたりして、やっと佐藤まさこさんのリーディングの時間になった。

前に座り、名前を言う。まさこさんは大きな水晶をたたいて音を出し、チベッタンベルを鳴らし、五十鈴も鳴らしてまた水晶を鳴らした。音による浄化だ。

テーブルの上には無数のタンブルが置いてある。まさこさんは私の左手をとって、タンブルの上をサーッとスキャンするように動かした。私は何も感じない。
「私案外鈍いんです」と言うと
「あなたのパワーが強すぎるのよ。あなたはこっちでしょ。」と言って私の左側にいくつも置いてある巨大カペラ型アメジストの方に私の手のひらを持っていった。
「ほら、これでしょ。感じるでしょ。」たしかに手のひらがジンジン反応する。試しに他のアメジストにも手のひらをかざしてみたが、あまり感じない。
「あなたはこのくらいの石を持たなくちゃだめよ。」えーーーーっ。そそそんなことを言われても… まさこさんはお構いなく


「今は紫色が必要ね。」と、今度はタンブルたちの中から不思議なアメジストを選んでくれた。手のひらに握りしめる。なんだか安心できた。

それから私をじっと観ると、巻紙に筆ペンで何やらサラサラと書き始めた。



 直感力のすぐれた人。
 UFOを見る位の感覚あり。
 おだやかで山の湖のように。
 ミステリアスな湖


高い山に挟まれた湖の絵を描いてくださった。
私はすごくすごく守られているのだそうだ。 まただ。私はよく、すごく守られていると言われる。私にはまったく実感がないのだけれど、それほど手厚く守られているということは、それほど私が危なっかしいということなのだろうか。そこを聞くのだった。

UFOに関してはまだ近くで見たことはない。ただ、どうもあれはUFOだな、という光は最近よく見る。これは証明のしようがないので妄想かもしれない。

そしてまたカペラちゃんだ。
「あなたはこのカペラよ。」などと言われても…ものすごい値段がついているのだ。でもたしかにとても魅かれる。じっと見つめるとなんだか空気がクラクラっチカチカっとした。どうもやはり連れて帰らなければならないらしい。
ふう。他のアメジストもなんだかやけに愛想がいい。おっと、他のアメジストにも「連れて帰って」と言われると困るので、私はとっさに知らんぷりした。

まさこさんに「ゆっくり考えたら」などと言われて私の時間は終了した。

そして、だぼだぼ吊りズボンのお兄さんと、値段の交渉だ。とにかくこの値段では買えない。セラピスト用卸値段にしてくれると言うので、ついでにそばにある6000円の水晶とローズクォーツの5ケセットを見て
「これも付けてよ」と言ったら
「いいですよ。さすが関西人、上手ですね。」とほめられてしまった。うれしい(*^.^*)。練習のかいがあった。

家に帰ってから調べると、カペラ型アメジストというのは、過去の都市の情報が入っていたりするのだそうだ。しかし、この半分の片割れがどこかにあるはずだ。情報が入っているのだとしたら、両方で一人前なのではないだろうか。なんだかとても気になる。いつかその半分と出会えるだろうか。



■私はカペラ型アメジストと出会って、なんだか満足してしまった。

ステージでは次々と面白そうなイベントをしているし、怪しくて面白そうなブースもたくさんあるけれど、なんだか満足してしまったので、おとなしく帰ることにした。

外は相変わらずの雨だったが、会場はまだまだ熱気に包まれていた。

実はもうミーハーはいい加減に卒業しようと思うのだけれど、どうもこういう場に来てしまう。来てしまう、ということは、まだ私はこういうメッセージを必要としているのかもしれない。
あるいは単に精神世界おたくとか、精神世界中毒になっていて、行動できないだけなんだろうか。どんなにすばらしいメッセージから気づきが訪れたりしても、自分が決断して行動するしかない、ということは十分に分かっている。
けれど…この自分の不安定さ、開けるようで開けないのはなぜなんだろう…
アメジストを手に入れた充実感と、先の見えない不安とが同居していた。そして何事もなかったように、雨は降り続ける。